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観劇日記

【外部】ファントム感想と比較①

終電帰宅の拗らせた深夜テンションを持て余したので先日ACTシアターにて観劇した外部ファントムの感想を書こうなどと思いつき今に至ります。おもさげです。

 

寝る準備はばっちり、明日は休日という余裕のブログ更新です。

 

そう!11月某日、赤坂ACTシアターにて『ファントム』を観てきました〜!

私が観劇した時の配役は以下の通り。

ファントム:加藤和樹さん

クリスティーヌ:愛希れいかさん

 

この2人の回のチケットはそこそこ取りやすかった方だと思います。

城田さん回なんかは安定のチケ難だったんじゃないかな〜。知らんけど。

 

友人の数名は城田さん愛希さん回や城田さん木下さん回を観ていたので今回はそんな友人から聞いた感想も交えつつ、私が大がいくらついても足りないというほど大好きな宝塚版ファントム(最新の雪ver.)と比較しつつ、感想を書いていこうと思います。

 

※超個人的かつ勝手な考察もどきが山とあります。ネタバレもふんだんに。円盤が出るそうなのでそれをお待ちの方や単純にこいつの感想なんか聞きたくないやいという方は回れ右推奨です。

 

 


 

 

まず結論から言うと、私はやっぱり宝塚版『ファントム』の方が好きでした。

セリフ、曲、歌詞、衣装、演出.......うん、どれをとっても好きだな宝塚版、という感じ。

 

なんていうかファントムという作品は外部を観る前から宝塚版の方の内容を知っているがためにどうしてもそこと比較してしまい「ん????」みたいなポイントが出てきてしまいました。

 

具体的に疑問を持った点をいくつか挙げてみるとこんな感じ。

 

  1. クリスティーヌが元気すぎる
  2. エリックの性格が個人的に微妙
  3. 衣装が謎すぎる
  4. 地下が工事現場
  5. 歌詞が個人的に微妙

 

1回オンリーの観劇の中で特に感じた個人的違和感ポイントは以上の5つです。

いやもうなんか最初から違和感ポイントかよという感じですが、 せっかくなのでちゃんとしたブログ風に見出し機能を駆使してどの点が「?」だったのかを整理してみようと思います。

 

クリスティーヌが元気すぎる

 

まずはこれ。

そう、愛希さん演じるクリスティーヌ(以下愛希ティーヌ)はめちゃめちゃ元気。

 

オペラ座で歌のレッスンを受けられるとなった時の喜びようったらない。

 

持っていた楽譜を放り投げながら「キャーーハハハハ!!!」みたいな文字通り大喜びをしていた時はさすがにびっくりしました。

いやこれ文字で書くと変な感じなんですけど本当にこういう笑い方だったんですよ。もちろんクリスティーヌなので嫌味っぽさは全然ないんですけど、そのあまりの喜びようにホラー映画を観てる時みたいなビクつき方をしてしまいました。

 

びっくりした.....とつい口から溢れかけるレベルの全力喜びティーヌ。

 

きぃちゃんクリスティーヌ(以下真彩ティーヌ)は喜んでいるんだけど「信じられない!」という感情から徐々に喜びを噛みしめていくような流れなのに対して愛希ティーヌは最初から「やったぁ!」みたいな。純粋に相手の言葉をそのまま受け止めてるっていうのかなぁ。少なくとも真彩ティーヌの時に感じた『実感が湧かない...!』というようなクリスティーヌの心情は見えませんでした。

 

「歌を売るのなんかやめてさっさとオペラ座行くぜ!撤収!撤収!」みたいな感じ。(?)

 

 

そのあとオペラ座に行ってからも挙動というか、リアクションがやっぱり元気な愛希ティーヌ。常にぴょんぴょん飛び跳ねている感じでこれはこれで可愛いのですが私の中のクリスティーヌ像とはちょっと違うなぁと。

 

真彩ティーヌは胸に手をあてて、少し困り眉な笑顔で「はい...!」って言ってるようなそんなイメージなんです、私の中で。

田舎から出てきてずっと抱いてきた夢に確実に近付いてはいるけど、そのあまりの展開の速さに戸惑っているというか。それでもやっぱり夢に近付けているのが嬉しくて...、みたいな。

 

他方、愛希ティーヌは楽観的というか、展開がどうとかはあんまり気にせず「オペラ座で歌のレッスンを受けられるの?!ラッキー✩!」みたいな感じ。成り行きに完全に身を任せている。だからこそその成り行き次第で感情がコロコロ変わってそれに伴って表情も豊か。

オペラ座にいられないかもってなった時はすごく落ち込んでいたし、いやワンチャンあるぞ?ってなると元気を取り戻す。そういう感じでした。

 

両者で特にはっきりと違うなぁと思ったのはやっぱり『眉毛』の表情。

 

真彩ティーヌは困り眉なことが多いんです。すごく。

口元や目元では笑顔でも、シャンドン伯爵と出会ってから目まぐるしく変わっていく自分を取り巻く環境に戸惑っているのが眉毛でわかる。

愛希ティーヌと比べると、嬉しいことがあってもその喜び方は控えめに見えます。

 

それでもクリスティーヌが喜んでいるっていうのが観てる側に伝わるのはやっぱり声の表現力が豊かだからで、その歌声を聴いていれば今彼女が何を思っているのかがきちんと伝わってくる。それだけの歌声を持っているからエリックも彼女に惹かれて...と、あっという間にストーリーの辻褄が合います。

 

 

愛希ティーヌはというといつも綺麗なアーチ眉。

もちろん悲しい場面では違いますが、嬉しい時、楽しい時は表情全体が喜びに満ち溢れていて。そして元気なキラキラオーラがもうすでに出ている。

なんとなく観ていて思ったのは「このクリスティーヌはオペラ座通りで曲を売ったりするかな?」ってこと。

これだけのバイタリティーがあれば初めから自分を売り込みにいってそうだなと。

 

言わずと知れた名曲『Home』の場面でも真彩ティーヌは1人になったことでようやく自分の心の底にずっとあった高揚感を少しずつ吐露しているという印象だったの対して、愛希ティーヌは「誰もいなくなったな?よーし歌っちゃおう!」みたいな印象で。

 

それはやっぱり愛希ティーヌはオペラ座に入ったその瞬間からずっとワクワクしていたからかなと。

さっきも言ったように足取りやリアクションの全てから溢れんばかりの高揚感を表現していたので、本当に環境適応能力が高いというか状況に対する戸惑いが一切なく真っ直ぐなクリスティーヌなんだなぁと思いました。

 

 

エリックの性格が個人的に微妙

 

これよ。

宝塚版、外部版と両方観てエリックを通して私が感じた作品全体のイメージをあえて言葉にするとしたら、宝塚版は『エリックの長い夢』で、外部版は『現実に起こったこと』という感じ。

『ファントム/エリック』の人物像だけに関して言えばリアリティーがあるのはやっぱり外部版だと思います。

 

多くの方も仰られていますが外部版エリックは正直気味が悪い。

得体の知れない何かという感じがしました。

仮面をつけている点を除けば服装は紳士的なのです。マントと照明の感じでおどろおどろしい雰囲気は出るものの、たぶんマントをとって普通の明るいところで見たら彼は小綺麗なジェントルマンにも見えるでしょう。

が、仕草や口調がその服装に反しているのでそのちぐはぐ感が観てる側の恐怖を煽るというか。

こんなことを言うと語弊がありそうですが、本当になんの躊躇もなく人を殺してしまいそうな、もしくは自分自身があっさり死んでしまいそうなそんな危うさがあるように感じました。

 

彼が大切に思っているのはあくまで『天使の声』とそれを持つ『誰か』であり、『命』に対してはあまり重きを置いていない感じ。それは他人のものであれ、自分のものであれ、です。

 

だからこそ、その唯一大切にしているものを「奪われた」と感じた時にその対象にこの上もない憎悪が生まれる。

うん、納得です。

 

この拗らせ方をしていたら、まぁそうなるだろうな、と。

 

ここは宝塚版とはアプローチが違うので1回観劇しただけでは理解が追いつかない点でもあると思っています。なのでこれ以上の追究は避けますが、宝塚版ファントムというよりかはALW版の『オペラ座の怪人』に近いなぁと感じました。

 

 

宝塚版ファントムではエリックはクリスティーヌに対しては本当に紳士そのもの。口調も優しく、穏やかで落ち着いていて、クリスティーヌを包み込むような深い情さえも感じます。

 

誰かと会話する時も相手によっては多少の傲慢さを見せるものの、テンポはスムーズ。まるで孤独な地下でずっと暮らしていたとは思えないような。だからこそ現実感は少ないかもしれません。

 

まぁそれも「エリックは母親と一緒にいた時は“普通の子供”だったわけだしそこからほぼ対人関係もなく、話し相手と言えばあの甘やかしてくれるキャリエールだけという環境で育ったというのならば口調が変にオドオドすることもなく、キャリエールのような紳士的な話し方や所作を身につけた大人になったっておかしくはない」と言われればそうだし、「地下で長いこと色々な本を読んで過ごしていたのならばその本から教養を得たり、本の登場人物から紳士的な立ち居振る舞いを身につけたのではないか」と言われればそれもそうだなとなってしまうのでいくらでも説明のつけようはありそうですが。

 

確かにエリックにはキャリエールしか話し相手という話し相手がいなかったでしょうし、そのキャリエールは彼に危害を加えるような人物ではないどころかむしろ甘やかしていたわけですから変に怯えてオドオドする必要があるか?と聞かれれば微妙です。

 

宝塚版のエリックは『顔を見られること』が怖いのであって『人と話すことや会うこと』が怖いわけではないのかもしれません。普通に仮面つけてマエストロになりかわったり、その前も仮面をつけてカルメンの稽古に飛び入り参加しているところを見ると顔さえ隠せていればわりと地上に出てこられる感じですもんね。

 

それもこれもクリスティーヌが現れたから、なのかもしれませんが。

 

この宝塚ならではの紳士っぽさはやっぱり素敵だなぁと個人的に感じてしまいますし、感情移入がしやすい人物像なだけにクリスティーヌと伯爵が2人でいるところを目撃したあとや、クリスティーヌに素顔を晒して怖がられてしまったあとのあの苦痛なシーンは観ているだけでこっちまで胸が張り裂けそうになります。なので観客をストーリーに引き込むという点では良いなぁと。

 

外部版はやっぱりエリックが不気味すぎてどうしても第三者的な目線で観てしまいました。

 

長くなりすぎた。

 

ここまででかなりの量書いていたことに気付いてしまったので、続きは次の記事に書きたいと思います。

一本にまとめたかったのにファントムが好きすぎて長く、熱く、超真面目になってしまうな〜。

 

よろしければもうしばらくお付き合いください。

 

 

おもさげ